持ち家か賃貸かという議論は至る所で散々されています。
昔からこの議論はあったようで、ピーター・リンチは投資するなら家は買えと言っていますし、ロバート・キヨサキは家はポケットから金を奪っていく存在であると言っています。
今の日本は「家を買うべきではない」という意見がかなり強い印象です。
散々議論されている事を何を今更という感じですが、私はこの議論には意味がないと思っています。なぜなら、家を買うべきか否かはその人の状況や性格、家庭環境によって大きく異なり、画一的な答えが出せないからです。
因みに私は深く考えたうえで、20代のうちに一軒家を購入しています。しかし、多くの人に住宅購入は薦めていません。家を買った事を後悔している訳では無くて、普通は買わないほうが良いだろうという見解だからです。
持ち家か賃貸かという問題は、オンプレミスかクラウドサービスかという問題と類似している
ITエンジニアであれば、サービスを立ち上げる時にオンプレミスかクラウドサービスかという判断はしばしばぶつかります。
ITエンジニアで無い方も、「クラウドサービス」という言葉は聞いた事があると思います。ざっくり説明しますと、以下のような感じです。
クラウドサービス | インターネット上のコンピューターが提供するサービスをネットワーク経由で使う。大体は月額支払。資産にならない。 |
オンプレミス | 自分でコンピュータを用意して直接サービスを使う。一括購入のみ。資産となる。 |
TwitterやLineも言ってしまえばクラウドサービスです。無料ですが。
簡単に言ってしまえば、クラウドサービスは月額支払で資産にならない、オンプレミスは一括購入で資産になる。という点で、持ち家か賃貸かという問題と類似していると言えるわけです。
一般的なクラウドサービスとオンプレミスのメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット | |
クラウドサービス | 小規模なら低コスト サービス開始・終了が容易 |
大規模では高コスト サービス継続と質は提供者に依存 |
オンプレミス | 大規模なら低コスト 可能ならば自力でカスタマイズ可能 |
小規模では高コスト 開始・終了にコストが掛かる 固定資産である(税金、管理コスト) |
世間ではクラウド、クラウド言っていますが、いわゆる大企業(1000人~)では、何かサービスを利用する時、クラウドサービスというのは基本候補に挙がらないです。
理由としてはコストです。例えば、月額1人1000円のクラウドサービスがあったとします。1000人の会社ですと、月額100万円で、年間1200万円です。オンプレミスと比較するために、機械系の固定資産の償却期間である5年の換算で見ると、5年間で6000万円です。
6000万円あれば、月額1000円のクラウドサービスを社内に自前で作ることが出来るケースが大半です。更にオンプレミスの方は5年超えたら固定資産償却費が0、残存簿価も0になり、固定資産税も掛からないので、コスト不要でサービスを使い続けられます。もちろん、壊れない前提ですが。
これを社員数1000人⇒100人にすると、かなりギリギリの話になり、数十人規模になるともう導入コスト面でクラウド一択に近いです。
この考え方を、会社では無く、家計に寄せて持ち家と賃貸のメリットデメリットを挙げてみます。
メリット | デメリット | |
賃貸 | 一人身なら低コスト 引越しが容易 |
家族住まいでは高コスト 大家さんに依存(住宅機能、居住継続) |
持ち家 | 家族なら低コスト 自前でカスタマイズ可能 |
一人身なら高コスト 引越しは高コスト 固定資産である(税金、修繕費) |
家族住まいで持ち家ならコストメリットがある。と言っていますが、住む場所にもよりますが、大体倍と思って良いと思います。私の例ですが、ローン支払い額の倍払っても同じところは賃貸契約できません。
不動産経営が儲かるのは下落リスク込みでも借りるより買った方が安いからです。普通に考えれば当然ですよね。
結局、持ち家が良いのか、賃貸が良いのか
私の思う、持ち家を買う最低条件は以下の通りです。
- 家族住まいである(多ければ多いほど良い)
- 自分で家で何かしたい(ガーデニング、DIY etc)
- 引越すつもりがない(転勤命令=退職 & 死ぬまでそこに住む覚悟)
- 若い(大体30台前半まで)
結構な条件ですので、普通は買わないほうが良いだろうという見解としていました。
今まで出てこなかった年齢の条件がありますが、家に住む年数が短いほどコストメリットの恩恵が得られないからです。
家を買うという判断をした時から、今まで賃貸支払していた金はすべて捨てたようなものです。なぜなら、家を買うという判断をした以上は、その判断は早ければ早いほど賃貸支払いをローン支払いに回すことが出来たからです。
また、ここで挙げた条件以外にも、
- そもそも自分の城が欲しい
- 将来的には不動産投資ローンを組みたい
- 金利
などなど、個人的な思いや社会や自身の経済状況も理由になり得ます。沢山の条件がありますので「家を買うやつはバカ」とか「家庭を持つならマイホーム」という画一的な答えはあり得ません。
他人の意見や社会の風潮に惑わされずに、自分自身で考えて答えを出す事が大事です。
そして、持ち家に関しては、答えが出ないなら買わない。で良いと思います。