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IPOセカンダリー株投資

今回はIPOセカンダリー投資に関する本を読んで面白かったので紹介します。

200ページに満たない本なのであっさりと読み切れます。
IPO株に興味が無くても、IPO関連の市場のルールや資金の動き等、知っておいて損はない情報があるので株式投資をする万人に読む価値のある本です。

IPOについて

IPOとは新規上場株式の事です。
株式会社が投資家に対して初めて株を公開するとき、証券取引会社を通じて抽選を行い、当選者に対する株価(公開価格)が決まります。
その後、株式の公開日に当選者以外の投資家も株式を取得できるようになるわけですが、この公開日の寄付きの株価(初値)は公開価格を上回る事が大半です。
ローリスク、ハイリターンのイメージがあるため、IPO投資は大変人気のある投資手法です。

IPOは少額の個人投資家には向かない

まず、私はかつてIPO投資に失敗しています。
「失敗」というのは損をしたわけではなく、何度抽選に参加しても当たらなかったのです。
IPOの抽選申し込みは公開価格×申込み株数の取引余力(入金残高)が無ければ取引余力分まで制限されてしまいます。
申込から抽選発表日までの期間、実質投資用資金を使えないことになるので、私の様なしょぼい個人投資家には大きな制限となります。
IPO企業の分析や抽選のための入金(とそれで他の証券を買わないこと)を行っていたので実質損したと言っていいです。
IPO抽選は沢山応募すれば当たる確率が上がりますから、資金が潤沢にある人が当たり易く、少額で投資を行っている人にはあまり向いていません。
IPO抽選の為に他の証券の購入を留める判断をしなければいけない人はやらないほうがいいと思います。IPOの期待値よりも投資機会損失の方が上です。

IPOセカンダリーとは

そこで出てくるのがIPOセカンダリー投資です。
IPOセカンダリーとは新規公開されて、市場で自由に売買されるようになってからの株式投資です。
本書ではデイトレードの紹介も多いですが、手法とは関係なく市場のルールや傾向として役立つ知識の記載も多いです。
また、スイングトレードの手法もあるので兼業投資家の方も参考になると思います。

IPO市場特有のリスクとルール

ここではIPOセカンダリーにおける特に重要だと感じたリスクやルールを一部紹介しておきます。

ストックオプションリスク(SOリスク)

ストックオプションとは企業が役員や社員に決められた株価で自社株式を購入する権利を与える制度の事です。
前述の通り、IPOは株価が上がる事が多いため、上場を目指している企業では従業員や経営陣のモチベーション向上の為にストックオプション制度を採用しているケースがあります。
この場合、従業員にストックオプションを配っている場合は、上場後の高騰時を狙ってストックオプションで得た株式を売却してくる可能性があります。
IPO時の公開情報としてストックオプションの付与数も公開されますので、IPO投資を行う際にはチェックしなければいけない情報となります。

ベンチャーキャピタルリスク(VCリスク)

ベンチャーキャピタルとは大口の機関投資家などから資金を預かり、ファンドを組成して、未公開企業に投資をする企業です。
成長のための資金提供を行い、その対価として未公開株を受け取ります。
その業態の性質上、上場後にこの株式を売却して利益確定をしてきますので、当然その分上値は重くなります。

ロックアップ期間

ベンチャーキャピタルが上場直後から持ち株を売ってしまうと、折角上場したのに公募割れしてしまい、企業が資金を調達できなくなってしまう可能性があります。
こういった状況を防ぐために元々の大株主やベンチャーキャピタルに対しては上場後の一定期間、あるいは一定価格まで株式の売却が出来ないように制限が掛けられます。これがロックアップです。
ロックアップの上限価格付近まで上昇すると、ベンチャーキャピタルの売りを警戒して値上がりが止まるケースが良くあります。

即金規制

新規上場した株式が人気化し、上場当日に初値が決まらなかった場合、証券取引所によって適用される特別ルールです。
以下の規制が適用されます。

上場当日に初値が決まらなかった場合、翌営業日から適用され、初値が付くまでは規制がずっと続きます。
初値が決まった「翌営業日」から規制が解除されます。
初値が決まった当日ではなく、「翌営業日」というところがポイントで、その日の大引けまでは規制が続いている点が注意点です。
本書で投資手法として活用される制度です。
ザラ場に張り付いていられる専業投資家向けの手法ですので、投資手法については割愛します。
気になる方は本書をご参照ください。

兼業投資家向けのIPOセカンダリー投資手法

スイングトレーダーや兼業投資家でも活用し易そうな手法を二つ紹介しておきます。

3四半期の決算に注目する

3四半期の決算短信の業績進捗率に注目します。
IPO企業には比較対象となる前年比四半期決算はありません。
その為、企業の定めた目標の進捗率が指標として注目される傾向となります。
通常、決算月の翌月末から翌々月中旬(3月決算なら4月末から5月中旬)に決算発表があり、上方修正の発表は決算発表の数週間前から決算発表直前です。
当手法では、3四半期の決算”のみ”に着目し、その進捗率(売上、営業利益、経常利益、純利益)が80%以上であれば、決算発表の1か月前くらいに仕込み、上方修正か本決算を待って利益確定します。
決算情報を分析するのが好きな方には嵌りそうな手法です。

指数連動型の投資信託入りを狙う

東証一部上場の企業とREITに使える手法です。
そもそも一部上場やREITでは規模が大きいのでIPO時の初値も大幅には上昇しない傾向のため、IPOセカンダリー投資では敬遠されます。
しかし、東証一部に上場した企業であれば、TOPIX連動の投資信託は組み入れを行わなければなりません。
また、東証REIT指数はすべてのJ-REITが対象となっていますので、REITに関しても同様です。
これらの組み入れは”上場の翌月末”というのがルールです。
組み入れ当月の上旬から1週間前を目途に買いを入れ、組み入れの前日までには利益確定します。
小幅となりますが、手堅い手法となります。

最後に

人によって適する投資手法は異なると言います。
色々な投資手法を試しているつもりなのですが、いまいちどれもしっくりきていないです。
株式の基本はバイアンドホールドだと思っていますので、IPOセカンダリーの「トレーダー」って感じの手法が私に嵌るかは微妙です。
ただ、四半期決算に着目するところや指数連動の投資信託の組み入れに着目する手法は面白そうなので、過去データで検証してみて良さそうだったらチャレンジしてみようと思います。

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