「バイアス -意思決定に潜む罠-」という書籍の紹介になります。
会社の仕事、家庭、友人、投資・・・、など人との関わりや意思決定が関係するありとあらゆる事柄でバイアスは作用します。
「バイアス」というテーマが大変応用力の高く、万人に学ぶ価値があります。
私も本著で初めて学びましたが、初心者向けに作られた本なので誰にでもおすすめ出来ます。
ちなみにKindle Unlimited会員なら無料でも読めます。(2020/08現在)
「バイアス -意思決定に潜む罠-」を読んで
「バイアス」とは思い込みのことです。
人の意思決定や何かに対する評価というのは無意識のうちにこのバイアスが働き、公平さや客観性欠くような、非合理的で短絡的な判断を下してしまいます。
誰しもがこのバイアスによる失敗を多く経験しているはずです。
人は一日に数千~数万回の何らかの意思決定をしていると言われます。
バイアスが働くのは深く思考しなくても判断を可能とし、思考を省略することで脳の負担を減らすという本能的な動作なので、完全に回避する事は不可能です。
しかし、どういったバイアスが存在し、いつ、どの様に発生しうるかを把握することである程度のコントロールが可能となります。
本書では、初めてバイアスを学習する方向けに、解りやすく、具体例を上げた説明で各バイアスについて説明されています。
ビジネスでも、家庭でも、投資でもバイアスをコントロール出来るようになることは必ず役立ちます。(本書はビジネス寄りの説明が多めです)
心理的バイアスの紹介
本書に記載されていた、知っておくと応用度の高そうなバイアスと対策を3つ紹介します。
確証バイアス
ステレオタイピングとも言う。いわゆるレッテル貼り。
一度思い込みをしてしまうとそれを支持する情報のみが目につき、さらに思い込みを強化してしまう心理的傾向。
良い自己意識なら良い方向に進めるが、悪い自己意識は更に悪化させてしまう。
確証バイアスの例
投資など、自分の意見や方向性を支持する情報ばかり集めていしまい、否定材料を考えようともしない。
自分は運動が出来る/出来ない、仕事が出来る/出来ないといった、自分に対するレッテル貼りで行動や結果が変わる。
確証バイアスの対策
敢えて逆の意見も分析し、自分の意見とのギャップを把握する。
また、自分へのレッテル貼りはポジティブな方向だけを意識に持つ。
不作為バイアス
何かしてもたらされるマイナスよりも、何もせずにもたらされるマイナスの方がマシと感じる心理的傾向。
不作為バイアスの例
変革や改善活動に対して、やらない理由を挙げ、現状維持を正当化しようとする行為。
働き方改革の必要性や世間の流れを知りながらも、テレワークやクラウドサービスの導入に踏み切れないような典型的日本企業の経営層、管理職。
不作為バイアスの対策
特にビジネスの世界では、変革や改善を行わなかった事を罰することは難しい。
しかし、不作為バイアスによる損失は大きい。
上記例で言えば、テレワークの事前準備の無い企業はコロナ禍で大きな損失を出した。
現実的に罰する事は出来ないため、不作為の罪は大きいことを自覚する(させる)他ない。
ハウスマネー効果
幸運によってもたらされた金はトントンになるまで失っても良いという心理。
ハウスマネー効果の例
給付金や年末調整で得たお金で無駄な買い物をしてしまう。
投資で得た収益分は別の投資で損失を出しても良いと考える。
ハウスマネー効果の対策
お金に色はない事を強く自覚する。(どんな稼ぎ方をしてもお金はお金)
お金を使う時は、常に支払う金額と得られる価値で判断すべきと立ち返る。
最後に
バイアスを3つ紹介しましたが、本書では40種類程のバイアスが掲載されており、そのいずれもが、どのような人に対しても当てはまる事柄ばかりです。
バイアスを把握することは、自分の行動改善にも繋がり、相手を見る目も変えることが出来ます。
自身の意見に固執しすぎている時、「今、自分は何かのバイアスに支配されているかもしれない」という気付くことができます。
誰かと対立した際は「この人は〇〇バイアスの強い傾向かもしれない」という観点から落とし所を見つけられるかもしれません。
バイアスを学んだことのない人は取り敢えず本書に目を通しておいて損は無いです。